肩関節周囲炎(五十肩、凍結肩とも呼ばれる)は、肩関節の炎症や拘縮(関節の動きが悪くなる状態)によって、痛みと可動域の制限が生じる疾患です。
1. 肩関節の構造
肩関節は、上腕骨(腕の骨)・肩甲骨・鎖骨で構成され、特に上腕骨頭(上腕の骨の先端)が肩甲骨の関節窩(くぼみ)に接する「球関節」として動いています。関節包(かんせつほう)という袋状の組織が関節を包み込み、滑液(関節液)によってスムーズな動きを可能にしています。また、腱板(けんばん、ローテーターカフ)という筋肉群が肩の安定性を保っています。
2. 肩関節周囲炎の発症メカニズム
肩関節周囲炎は、主に以下のような仕組みで発症すると考えられています。
① 炎症の発生
加齢や過度の負荷によって、関節包や腱板に微細な損傷が生じ、炎症が起こります。この炎症によって滑液の分泌が減少し、関節の動きがスムーズでなくなります。
② 関節包の肥厚と拘縮
炎症が続くと、関節包が厚く硬くなり、関節の可動域が徐々に制限されます。この状態が「拘縮」と呼ばれ、肩が動かしにくくなる原因になります。特に、外転(腕を横に上げる動作)や外旋(腕を外に回す動作)が制限されやすいのが特徴です。
③ 痛みの増強と血流の低下
炎症によって肩関節周囲の神経が刺激され、痛みが強くなります。また、痛みのために肩を動かさなくなると血流が悪くなり、組織の回復が遅れ、さらに拘縮が進行するという悪循環が生じます。
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3. 肩関節周囲炎の経過
肩関節周囲炎は、通常 「炎症期」→「拘縮期」→「回復期」 という3つの段階を経て自然に回復していきます。
1. 炎症期(急性期)(数週間~数か月)
• 強い痛み(特に夜間痛)
• 軽い動作でも痛む
• 炎症が活発
2. 拘縮期(慢性期)(数か月~1年)
• 痛みは軽減するが、肩の動きが制限される
• 「腕を上げられない」「背中に手が回らない」などの症状
3. 回復期(1~3年)
• 少しずつ可動域が回復
• 最終的にはほぼ正常な動きに戻る
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4. 治療・対処法
肩関節周囲炎の治療には、以下の方法が用いられます。
• 炎症期:安静+鎮痛(湿布、痛み止め、注射など)
• 拘縮期:リハビリ(ストレッチ、温熱療法、運動療法)
• 回復期:積極的な運動で可動域を広げる
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5. 予防・セルフケア
• 肩を冷やさない(温めることで血流を促進)
• 軽いストレッチや運動を継続する
• 姿勢を改善(猫背や巻き肩を避ける)
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まとめ
肩関節周囲炎は、炎症→関節包の拘縮→可動域制限の順に進行し、自然治癒することも多いですが、痛みの軽減や拘縮の予防には適切なリハビリが重要です。適度な運動と早期治療で、スムーズな回復を目指しましょう。
当院では可動域を広げるために施術、運動、栄養療法の総合ケアで改善していきます。
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